2013年4月17日水曜日

縄文時代の水戸市付近の鳥


縄文時代の水戸市付近の鳥

 

現在の水戸市からみて那珂川の対岸にあたる、ひたちなか市三反田には、茨城県を代表する縄文時代の貝塚がある。この蜆塚貝塚の「動物遺存体調査報告書」(1987.3)によれば、検出された鳥類は、保存状態もあまりよくなく種名の鑑定が不可能な破片が多いが、目立って多く確認されたのはカモ類である。その他、ウミウ、ハクチョウ、タンチョウなどの骨が、わずかに見られる。これとは対照的に、保存状態が良好で、頭蓋骨などの一部を除いてほぼ全身骨格が残っている、オジロワシと考えられる大型ワシ類の頭蓋骨・指骨を欠く全身骨格が出土している。食料に資するために解体されたのではないことが明らかで、埋葬犬に見られるような意図的な様子が伺われる、特殊な埋葬例である。

また、この貝塚からは、約3500年前の縄文後期のものと見られる鳥型土製品および鳥形把手も出土されている。三反田蜆塚貝塚の「1999年道路拡幅工事に伴う発掘調査概要」(2000.3)によれば、この鳥型土製品と見られるものは、鳥をモチーフにしていて、嘴は鋭く、猛禽類であると推定される。目は、円孔を貫通させて表現している。

今でも、涸沼にオジロワシが出現することを考えれば、当時、那珂川上空をオジロワシが悠々と舞っていたであろうと推定されるし、これを見た当時の人々が、このワシに特別な畏敬の念を抱いていたと考えるのは不思議ではない。

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